速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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AIが集めた500社のリストを、番号順にかけていた話

初出: note

こんにちは。速水拓真です。


先に白状します。AIにリストを作らせた最初の日、私はできあがった500社を、上から順にかけました。


1件目、2件目、3件目。台本は決まっていました。会社名を確認し、担当者につないでもらい、用件を30秒で言う。AIが作ったリストには会社名も電話番号も規模も出典も並んでいて、表としては文句のつけどころがありませんでした。


それでも、31件目でようやく手が止まりました。いま自分が、営業エリアから2時間離れた会社にかけていると気づいたからです。


31件かけて、アポイントは0件だった


その日の午前中、私は31件かけました。1件あたり4分ほど。2時間と少しを使って、アポイントは0件でした。


断られたこと自体は、この商売では普通です。問題は、断られ方ではなくかけ方でした。31件の中には、従業員が5人の会社もあれば、3,000人の会社も混ざっていました。直近で求人を出している会社もあれば、数年動きのない会社もありました。私はそれを、表の上から順に処理していただけでした。


リストが500社あるという事実は、その日の午前中、私に何の助けにもなりませんでした。順番のないリストは、速さをそのまま徒労に変えます。 AIが1時間で集めたものを、私は2時間かけて上から削っていました。


「上から順」は、怠慢ではなく順番待ちだった


なぜ上から順にかけてしまうのか、あとで考えました。


集める作業は、終わりが見えます。500行埋まれば完成です。達成感があります。一方で並べ替える作業は、判断が要ります。この会社とこの会社は、どちらを先にすべきか。正解がない問いを、500社分続けることになります。判断が要る作業は、必ず後回しになります。 私の「上から順」は、怠慢ではなく、順番待ちの列に並ばされていただけでした。


もうひとつ、これはAIを使い始めてから気づいたことです。人力で1週間かけてリストを作っていた頃は、集め終わる頃には私の頭の中で、なんとなくの選別が終わっていました。作っている間に、目で見た会社の印象が積み上がるからです。


AIは、その1週間を1時間に縮めました。縮めた分、頭の中の選別だけが取り残されました。集める速さが上がると、並べる工程を明示的に作らないと、そこだけが空白になります。 空白は、上から順、という一番楽な埋め方で埋まります。


並べ替えるために足したのは、たった1列


翌週、リストに列を1本だけ足しました。優先度スコアです。


重みは自分で決めました。出典が求人票なら3点、決算資料なら1点。求人票は、いま人が足りない会社です。動きが速いので、こちらから話しかける価値があります。決算資料は、動きが遅いぶん、後からでも間に合います。従業員50〜300人の帯に2点。小さすぎると仕組みがなく、大きすぎると担当が遠い。距離は商圏内に2点。


計算と並べ替えは、AIにやらせました。私は重みを決めて、渡しただけです。


同じ週、同じ500社、同じ台本、同じ人間で回しました。変わったのは順番だけです。 最初の10社で、アポが2件取れました。前の週に31件かけて0件だった数字が、です。


このとき、リストの質は1ミリも上がっていません。増えたのは、どの列から見るかという、たった1本の判断でした。私は「全部に連絡する」という前提を捨てました。捨てたら、残った10社が濃くなりました。500社を薄く回るより、10社を濃く回るほうが、今週の私には効きました。


何を上に置くかは、AIに渡せない


ここは、任せる線の話です。


会社を集めるのはAI。名寄せするのもAI。スコアを計算して並べ替えるのもAI。この3つは全部渡しています。今も渡しています。


何を重く見るかを決めるのは、私です。


求人票を3点にするか2点にするか。距離を重く見るか、軽く見るか。これは営業が何を大事だと思っているか、そのまま出る場所です。同じ500社を渡しても、重みが違えば並ぶ順番は全部変わります。つまり、並べ替えの重みは、営業の思想です。 思想は、AIに書かせると当たり障りのない平均値になります。だから、ここだけは渡す気になれません。


AIに渡していいのは、集める作業と、計算する作業です。渡してはいけないのは、どれを先に大事にするかという選択でした。その選択を1列に書き出した瞬間から、リストは「集めた証拠」から「今週の行動表」に変わりました。20年目で、ようやくその違いが分かりました。


今週、ひとつだけ試すなら


すでにAIでリストを作っている人は、その表に列を1本足してください。優先度でも、順番でも、◎△×でも構いません。名前は何でもよくて、大事なのは今日かける10社に印がつくことです。


重みは、最初から正しくなくていい。私の重みも、たぶん来月には変わります。それでよくて、順番を決める判断を1回手でやっておくと、次からはAIがその重みで並べてくれます。


リストは、集めた数では働きません。並んだ順番で働きます。500社を持っているのに順番がない状態は、実質0社と同じです。まず11社目を、今週は見ない。そこから始めました。


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