速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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集めたリストに、何を書いておくか — 調査の順番と記録の型

第11回(母数を数える — 見込み客は業界に何社あるか)で、リストの外側の枠が固まりました。業界の母数、条件で絞った後の社数、在庫が持つ月数。箱の大きさは決まっています。今回は箱の中の話です。第3回(見込み客リストの収集)で集め、第9回(リストの精査と順番を点数で決める)で1,151社に整理したリストの、1行ずつに何を書いておくか。そして、どの欄から埋めて、どこで止まるかです。

地味なテーマですが、ここが曖昧なままだとリストの価値は1ヶ月で半減します。理由は2つです。欄が決まっていないと、調べた結果をどこに書くかが人によって(そしてその日の自分によって)変わる。書いた日が残っていないと、その情報がまだ正しいのか、誰にも分からない。

欄は、第9回の配点表がもう決めてくれている

何を書くかに迷ったら、点数の出どころを見ればいい。第9回の採点は、必須条件3個×20点、優先条件2個×10点、動き加点20点でした。点数の材料になる欄を1行に並べておけば、表はそれで成立します。

  1. 条件欄(5つ) — 必須3つと優先2つ。私の例なら業種・従業員数・所在地に、条件表の優先条件を足した欄です
  2. 動き欄 — 直近の求人とプレスリリース。加点の材料です。「有/無」ではなく「内容と日付」で書きます
  3. 記録欄(3つ) — 確認日・出典・ステータス。ここが今回の本題です

調査の順番 — 安い情報から高い情報へ

欄が決まったら、次は埋める順番です。私の基準は1つで、情報の値段の安い順に埋めます。

  1. 検索条件そのものになっている欄(業種・地域) — 集めた時点で埋まっています。追加の調査は不要です
  2. Webで3分で埋まる欄(従業員数・事業内容・求人・プレスリリース) — 第4回(企業調査 — 1社30分を3分にする)の指示文で埋まります
  3. 相手と会わないと埋まらない欄(決裁者・今の課題・提案のきっかけ) — ここをWebで無理に埋めようとするのが、事故のもとです

3段階目の欄は、空欄のまま残すのが正解です。空欄は「未着手」の証拠であって、リストの欠陥ではありません。私も昔、いただいた名簿の役職欄をそのまま写したことがあります。先方で「うちの部長は春から取締役ですよ」と訂正された。名簿は「その時点の記録」であって「今の事実」ではありません。確認日が書いていない名簿の欄は、今の欄として使えない。だからこそ、記録欄が要ります。

記録欄の3つ — 確認日・出典・ステータス

確認日

「2026年◯月◯日時点」と書式まで含めます。第11回で母数に「◯年◯月時点」を付けたのと同じルールを、1行ごとに適用するだけです。

出典

その行の情報をどこで見たか。会社のHPか、求人サイトか、プレスリリースか。URLを1つ貼るだけで構いません。第11回にも書きましたが、出典が書けない数字は使わない。これを1行単位でも徹底します。

ステータス

「確認済」「不明」「未調査」の3値です。従業員数は4〜5社に1社は、調べても確定しません。だからこそ、「調べたのに分からなかった」と「まだ調べていない」を同じ欄に混ぜない。スコアリングの典型的な失敗は、この2つを同じ扱いにして、調べる意義そのものを潰すことです。「不明」の会社は保留として扱い、後で再調査します。欄が3値に分かれていれば、月が変わって「未調査」の行だけをもう1周できます。リストは消耗品ですから、1周が終わった行から順に、また確認日を更新していけば、表は生き続けます。

AIに書き戻させる — 形式を守らせる指示文

欄と順番が決まったら、2段階目の調査はAIに丸ごと任せられます。ポイントは1つです。調べた結果を、表の行としてそのまま書き戻させる。

あなたは法人営業のリスト管理を手伝うアシスタントです。
以下の表の各行について、Webで調べられる欄だけを埋め、
同じ列数・同じ並びの表で書き戻してください。

【表】
(CSVの行を20行ずつ貼る)

【埋める欄】
- 従業員数: 公開情報から読み取る。読み取れなければ「不明」
- 動き: 直近3ヶ月の求人、直近6ヶ月のプレスリリース。なければ「なし」

【追記する欄】
- 確認日: 今日の日付
- 出典: 調べたページのURL
- ステータス: 埋められた行は「確認済」、読み取れなかった行は「不明」

【禁止】
- 推測で埋めないこと。分からない欄は「不明」と書く
- 列を増やさない・並びを変えないこと
- 決裁者・課題の欄には触れないこと(商談で埋める欄です)

20行ずつに分けて送ります。1回に100社を貼ると、列の並びが途中から崩れます。AIが苦手なのは「大量を正確に」ではなく「形式を守り続ける」ことなので、回数で区切ってください。

形式の指定を怠ると、AIは文章で返してきます。「株式会社〇〇は成長著しく、直近では…」という文章は読み物としては優秀ですが、リストには書き戻せません。表で返ってこなければ、翌月にまた1から調べ直しです。指示文に「同じ列数・同じ並びで返す」と1行書くだけで、この事故は防げます。

今日やること

  1. リストに記録欄を3つ足す(5分) — 確認日・出典・ステータス。既存の表の右端に列を3つ加えるだけです
  2. 欄を3種類に分ける(5分) — 条件欄・動き欄・記録欄。色を付けるか、欄名に番号を振るだけで構いません
  3. 上位20社にだけ3分調査を回す(60分) — 第4回の指示文で1社3分。Aランクから順にです
  4. 「不明」の社数を数える(5分) — 1周して、不明が4〜5社に1社の目安より多ければ、出典の指定を見直します
  5. 調査は週1回・20社に区切る — 毎日5社より週1回20社。続かない仕組みは、仕組みではありません

次回から

次回、第13回は「商談が終わったら、メモを放置しない」を扱います。リストの行動を始めると、最初に増えるのはメモです。商談後の駐車場でスマホに喋った粗いメモを、その日のうちに議事録に変える型の話をします。


この連載は書籍『営業の仕事をAIに任せろ — 見込み客リストから提案書まで、1人で回す営業自動化』の内容をもとに、加筆して公開します。

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