速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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点数の中身を聞き返したら、同じ間違いが3社並んでいた話

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こんにちは。速水拓真です。


前回は、20年ためた決め手のメモを記録の形に書き出して、過去の受注に聞きながら点数の表に直す話を書きました。2周で切り上げ、表ひとつの完成まで行きました。ただ、できた表は採点の基準であって、本番の相手を点数にする工程は、一度も通していませんでした。今日はその一回目の話です。今朝の話でもあります。点数は合っていても、中身が間違っている場所がある。その中身を聞き返すと、間違いは1つの会社の中に散らばらず、数社ぶん同じ方向に並んでいました。


今朝、採点表が初めて本番を回した


今朝、できて3日目の採点表を持って、台帳へ向かいました。台帳とは、以前書いたとおり、5か所に散っていた会社の記録を1か所へ集めた表のことです。行は1800超。全社ぶんを点数にしても回らないので、半年の中心になる相手を選ぶ工程だと決め、渡したのは絞った数十社でした。


頼み方は単純です。採点表の条件と点数を渡して、会社ごとに点数を付け、高い順に並べる。あいだに線を入れて、高い側を本リスト、低い側を待機側にする。並べ替えは2分で返ってきました。ここまでは、以前から同じです。今回やったのは、返ってきた点数をそのまま読まずに、聞き返す工程を1つ足したことです。


点数の内訳を、点数より先に申請させる


低い点数の前では理由を説明したがるのに、高い点数の前では説明を聞かないまま受け取る。この癖が20年付き合い続けてきた癖でした。そこで、点数を読む前に、1枚の依頼を足しました。内訳と、内訳に使った事実と、事実のあてにならない度合いを、会社ごとに申請してください。形は1社4行です。どの条件に何点を付けたか。点の材料になった売上や人数や事業を数値で書く。そして、その事実が出てきた場所の信頼を3段階で書く。1段階は記録で当たった事実。2段階は一部を推している。3段階は一般知識だけで書いていて、裏を取っていない。


申請は10社ぶんで40行、10分で返ってきました。私が読むのは、3段階の印が付いた行だけです。裏を取らずに申請してきた事実だけを、検索窓に1社2分で当てていく。全部の行を疑う運用にはしません。機械が書く数字は、ほとんど合っています。全部を疑って1社1枚決算を開いていたなら、検算は3日で止まっていたはずです。疑う場所が申請で決まるから、続けられるのです。


85億という数字の、帰る場所が違った


3段階の印が付いた行は、10社のうち2行でした。1行目には、売上85億円とありました。規模の条件に満点を取った会社です。検索窓に社名と決算を打つと、当該の会社の売上は12億円でした。85億円は、親にあたる会社の連結の数字でした。親の帯で規模の条件を満たしていたので、子の会社が満点を取っていたのです。


残りの1行は、事業の領域が事実と違うもので、2分で直せました。ここまでは手で直して終わってもよいところです。ただ、申請を眺め返すと、同じ親の会社が本リストに3社並んでいました。3社とも、売上の欄には同じ帯の数字が入っています。3社が別々に間違えたのではありません。1つの読み違えが、3社ぶん同じ方向に並んでいたのです。


おかしいのが3社あったら、3つの間違いではなかった


人間が100社ぶん点数を付けて間違えるとき、誤りはまばらに散らばります。午後の疲れた時間。30社目の集中の切れ。社ごとに原因が違い、次の誤りがいつ起きるのか予測できません。この20年、私はこの散らばる誤りと付き合ってきたので、間違い探しは根気の仕事だと決めていました。


機械の誤りは、性質が違います。同じ理由で、同じ方向に、まとまって起きます。決算期を読み違えたなら、表の半分が1年前の数字で採点される。社名が似た別会社を混同したなら、似た分だけ誤りが連なります。だから3社おかしいと感じたら、それは3つの事故ではなく、1つの原因から湧いた3つの症状だと読み方を変える。そして原因の多くは、採点基準の文言の中にいます。今回の3社は、規模の条件に「親と子を区切る1行」がなかったのが原因でした。社名が似ていただけで、別の会社を見間違える話は以前書きました。あちらは会社を同定する工程の話で、本回は点数の中身の話です。誤りの読み方という骨は共通でも、手を入れる場所が別です。


ここに禁則が1つあります。見つけた会社だけを、手で直して表へ戻すこと。直した会社とそうでない会社で、点の付け方の尺度が割れます。割れた尺度は、並べ替えの意味そのものを消してしまう。85億円の3社を直すなら、すべての会社をまとめて、もう一度通す。誤りを見つけた会社の1社だけ浮いた形の表は、間違いを直した表ではなく、間違いを増やした表です。


惜しくて落ちた側の20社を、同じ申請で通した


本リストの上位を聞き返すのは、実は点数の直しのためではありません。引いた線の位置を確かめるためです。上位が系統的に盛られていたなら、線は正しい位置より上に引かれている。直すべきは線であって、点数ではありません。


では、落ちた側はどう読むのか。待機側を点の高い順に並べて、上位20社に同じ申請を1回通しました。落ちた側の上位とは、惜しくて落ちた会社のことです。点数が高すぎる会社の間違いは、寄ったときに姿を見せます。寄りの10分で済む痛手です。点数が低すぎる会社の間違いは、寄らないので姿を見せません。半年の相手になるはずだった会社が、待機側の下の方で静かに沈んでいく。捨てた行を保存して使う話は以前書きましたが、本回拾うのは、その行の中の点数の間違いです。行は置いてあっても、点の計算が合っていなければ、保存の意味が半分に減ります。


20社ぶんの申請には、別の形の誤りが3行出ました。条件の1行には「自社で製造する工場を持つ」が入っています。内訳を読むと、部品の卸をやっている会社が製造の加点を取った行がありました。卸の会社に工場はありません。別の行では、工場の改造を行う不動産の会社までが、同じ条件に乗って加点していた。3行が同じ方向に倒れています。原因は、文言の曖昧さの中にいました。ここで基準の1行を直します。自社の名義で製造が書かれた拠点が、公の記録に載っているなら加点する。読み方が1つに決まる形です。


1行足して、全社ぶんが直った


直した基準を渡して、本リストと待機側をあわせた全部を、もう一度採点してもらいました。1社だけ直すのではない。全部を同じ尺度で通し直すので、点は全部で動きます。動いた結果はこうです。待機側の2社が線を越えて本リストに入り、本リストの1社が下がって待機側へ移りました。順序が少し入れ替わった新しい表の中に、3社ぶんの間違いはもういません。


1社だけ直して終わっていたなら、3社のうちの1社も正しくは入っていません。直した会社の点だけが浮いた、使い物にならない表が残っていました。検算に掛けたのは30分まで。上限は、採点に掛けた時間の半分と数字で決めています。超えたら範囲を広げすぎの合図です。再検算は10分まで。


誤りの1行を、残すことにした


見つけた誤りは、1行の記録に書き留めます。日付。会社。誤りの内容。原因。基準への直し。並べただけで5項目、1行です。


この1行には、二つの使い道があります。ひとつは、同じ条件から誤りが出続けたときの直しです。成長している会社なら加点、の形の行は、機械が毎回、成長の意味を自前で決めてしまいます。直近3年で売上の増が記録で見えるなら加点する、のように条件と点数まで書き切ると、読み方が1つに決まります。誤りの記録は、その書き切りの材料です。


もうひとつは、過去の誤りを覚えさせておくことです。人間は昨年の同じ失敗を、嫌でも思い出します。機械には前回の失敗が見えていません。記録の行を、次の採点の依頼文の末尾に一緒に貼る。失敗の記憶を移植する1工程です。


15年前なら、85億円の誤りはこう終わっていたはずです。点の高い会社へ寄って話を進め、契約の寸前で規模の違いに気づく。点の低い側の3社には寄らないので、誰も誤りに出会わない。20年間、間違いは気づかない場所に埋まるのが普通でした。今日からは、埋まる前に聞き返すだけで、誤りは並び方まで話してくれます。


任せる線


点数の計算、並べ替え、内訳と事実と信頼度の申請は機械です。申請の中から拾う行を決める、拾った行を外の記録で当てる、基準の文言を1行直して全部を通し直す決断、誤りを記録に残すかどうかは人間です。


疑う場所を選ぶのは人間のまま動かしていません。機械は誤りを申請してくれますが、申請が正しいことを、機械自身は保証しません。85億円の帰り先を教えてくれたのは、検索窓という人間の道具でした。1社2分。疑う行だけ当てて、表は全部で直す。この順番は、点数表がひとつもなかった昔の手元からは、出てこなかったものです。


今週、ひとつだけ試すなら


点数の表が手元にあるなら、内訳と事実と信頼度の申請を1回だけ頼んでみてください。読むのは、自信のない印の行だけです。1社2分で当てて、おかしいと感じる会社が3社並んだら、3社を直すのではなく、基準の1行を探してください。1行直せば、全部が直ります。20年前の私には、点数の中身を聞き返す場所が一つもありませんでした。聞き返すだけで、間違いの並び方まで教えてくれる場所が、今はあります。


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