数字が落ちた月、落ちていた層は1つだけだった話
【予告】11/1(日)16:00〜11/6(金)16:00の5日間、Kindle本『営業の仕事をAIに任せろ』(速水拓真)が無料で読めます。
▼ Kindle本はこちら(11/1 16:00から5日間無料): https://www.amazon.co.jp/dp/B0HHNXGW2Y
こんにちは。速水拓真です。
前回は、動いた会社をどれだけ速く読み、どれだけ速く触れるかの話を書きました。今回は場面を変えて、今年の6月に戻ります。数字が落ちた月に、初めて「どこで落ちたか」を数えた記録です。
「今月は、向かい風でした」
15年前、月末のミーティングで、私はよくこの一言で報告を終えていました。数字が目標に届かなかった月。当時の部長に「で、どこが悪かったんだ」と聞かれても、答えは同じでした。「市場が静かでして」。部長もそれ以上は聞きませんでした。聞けなかったのだと思います。彼もまた、数えていなかったからです。
一言で終わるのは、手を抜いていたからではありません。数えていないからです。数えていない人が落ちた月に用意できる理由は、天候くらいしかありません。晴れの日は調子がいい。向かい風の月は仕方がない。翌月も同じ報告をして、翌月も同じ顔をされる。私はその繰り返しで、何年も月を閉じてきました。
今年の6月、アポだけが半分に届かなかった
6月の半ば、その時点の数字を眺めていて、手が止まりました。送ったメールは前月とほぼ同じペースで出せています。返事も来ている。なのに、商談の予定だけが、前月の同じ時期の半分にも届かない。
直感はすぐに「商談が下手になったのでは」と言いました。AIに相手を頼んで、練習の回数を増やそうと、画面に手を伸ばしかけました。けれど、思い込みで練習を増やすのは、15年前の「向かい風」と同じ形です。原因を決める前に、まず数字を並べることにしました。
台帳を渡して、「層」で数えさせた
リストの台帳と、送ったメールの記録をAIに渡して、こう頼みました。「前月の同じ日と比べて、どこで落ちているかを、層に分けて数えて」。層は6つに分けます。送った数、返事が来た数、アポが決まった数、商談をした数、提案を出した数、受注した数。見るのは、数字の大きさよりも、層と層のあいだを通過したかどうかです。
1分ほどで、答えが返ってきました。
送った数:前月とほぼ同じ
返事が来た数:前月と同じ10通
アポが決まった数:前月の同じ日は6件。今月は2件。ここだけが落ちている
商談・提案・受注:前月と同じペース
落ちていたのは、返事からアポのあいだの、1つの層だけでした。商談は下手になっていなかった。練習を増やす理由は、どこにもありませんでした。
落ちていた層の正体は、私の1文だった
アポに繋がらなかった行を、返事の来た行から並べ直して、私が送った文面を読み返しました。繋がらなかった返事の半分以上に、同じ1文が入っていました。「ご都合の良い日時をご提示いただけますと幸いです」。
日程を決める作業を、相手に丸投げする1文です。返事をくれた相手は、こちらに興味を持ってくれているのに、その次の行で、忙しい相手の頭の中に空いた時間を探させる仕事を押し付けていた。前月にこの1文で通っていたのは、相手に余裕があっただけでした。6月、同じ1文は、忙しい相手の「あとで考える」の山に置かれたまま、動かなくなっていたのです。
その日のうちに、その1行だけを差し替えました。「来週の水曜10時、木曜14時、翌週の月曜11時のうち、ご都合のよいものをお知らせください」。選ぶだけの1文です。相手の忙しさは、天候と同じで選べません。選べるのは、私の1文のほうだけです。月の終わりには、この層の繋がりは前月並みに戻っていました。この1行は、いまでは手順書に書いてあります。
層を数えると、直す場所が1つに決まる
層を数える前の私は、落ちた月には全部を疑っていました。リストが悪いのか。文面が悪いのか。商談が下手なのか。全部を疑う人は、結局、どれも直しません。1か月を「向かい風」で片付けるのと同じ動きを、1週間単位で繰り返すだけです。
層で数えると、疑う場所が1つに決まります。返事が来ないなら、最初の1文と、送る相手。返事は来るのにアポが決まらないなら、日程の1文。アポは決まるのに商談に進まないなら、そこで初めて、AIに練習の相手を頼む意味が出る。どこで落ちたかを知らないまま練習を増やすのは、痛い場所を確かめないで薬を飲むのと同じです。この6月に、初めてそう気づきました。
月報の「良い・悪い」を、層の1行に変える
秋から部内では、6人でこの回し方を回すようになりました。前にこの連載で書いた「何と比べた便利ですか」の話は、導入の前と後を比べる数字の話でした。今回、その月報にもう1行を足すことにしました。「前月より落ちていたのは、どの層か」。比べる数字と、落ちた場所を突き止める数字は、別の仕事をします。
良い・悪いで終わる言葉は、翌月に何も残しません。層の1行は、翌月に直す場所が1つ残ります。落ちた月の理由が天候になるのは、部長でも後輩でも同じです。数える1行があるところだけ、風のせいにできなくなります。
任せる線
数えるのはAIです。台帳の行を行き来して、6つの層の数字と、層と層のあいだを通過した行を拾い出すのは、機械の仕事です。1分で終わります。渡さないのは、落ちた層を見て「なぜ、ここで落ちたか」を考えること。直す1文を選ぶこと。直した結果を、翌月また同じ層で数えさせること。数字はAI、読み方と直す場所は人間。数えないまま「向かい風」と言い続けてきた私が、いちばん遅く引いた線かもしれません。
今週、ひとつだけ試すなら
月末に、数字を一言で片付けないでみてください。「良かった」「悪かった」の代わりに、「前月より落ちていた層はどこか」を、1つだけ数える。台帳と送った記録があれば、AIに聞けば1分です。私の長年の「向かい風」は、たぶん、ずっとどこかの1つの層でした。風が本当に吹かなかった月は、思っているより少ないのです。
書籍『見込み客をAIに探させろ — 空リストに悩む営業のための、顧客発掘の完全自動化』(速水拓真)では、落ちた月を層に分けて数え、どこで落ちたかを突き止める方法を、貼って動く形でまとめています。Amazonで見る
それでは、また。
🎁 読者特典3点セット(無料)
① 提案書3層プロンプト — 40分で6枚の提案書を出す、貼って動く完全版
② 調査カード3分プロンプト — 1社30分の企業調査を3分に(5社まとめ処理つき)
③ 商談前メモ5箱テンプレート — 商談5分前に読める1枚(AI整形プロンプト+記入例つき)
メールアドレスだけの登録で3点すべてすぐ受け取れます(解除はいつでも)。
> 📗 見込み客をAIに探させろ(Amazon・読み放題対象)
>
> 📗 シリーズ全3冊: 営業の仕事をAIに任せろ ・ 見込み客をAIに探させろ ・ 商談をAIに鍛えさせろ
>