速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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後輩のいない朝に、61位の会社が動いた話

初出: note

こんにちは。速水拓真です。


前回は、後輩の不在に備えて、止まり場所を数えた6行を順番と判断と曜日の3枚に分けた話を書きました。今回の場面は、その試験の当日、不在の1日目の朝から入ります。


おはようを言う相手がいない朝


火曜の朝6時、リストは時計が集めていました。席に着いて、私は曜日の1枚を開きます。不在の週は朝の10分を私が回す、と書いてある通りに。行を上から読み進めていくと、台帳の下のほうに、ここ何日も動きの印の出ていなかった会社が1行、点数を付けていました。優先度の並びで61番目の行です。中身は資金調達の発表1本で、地方紙の記事と、工場の設備の更新費に使うという記述まで見えます。


この行を前にして、私がしたことは、読むことでした。読み続けました。読み終わって次の一手を書こうとしたとき、手が止まりました。動いた行をどう読むかの線も、読み終えたあとに何をするかの窓も、手元に決まっていなかったのです。見つけた行は目の前にある。けれども、読む速さと触れる速さを書いてある場所が、3枚のどこにもありませんでした。


15年前、決まってから2か月遅れで知った


手を止めて、15年前のある案件が浮かびました。担当していた会社が、ある朝「競合に決まった」と伝えてきたのです。私たちの提案は、聞かれることすらありませんでした。悔しさのあまり、後日、先方の経緯を集め直したことがあります。出てきたのは、決定の2か月前に出ていた一枚の記事。工場の増設と、それに合わせる設備投資の方向性。記事は出ていたのに、私たちは誰も読んでいませんでした。読む場所は「目についたら読む」だけでした。目につかなければ読まない。つまり、発見は私の頭の中に住んでいて、頭に届いた日が出発の日になる。


負けの原因は提案の質ではありません。出発の遅れです。相手が動く。動きは公開される。読む場所を決めていない側だけが、公開の日から遅れて出発します。


15年前は、見張り自体を立てていませんでした。いまの機械は、見張りを立てています。それでも、この朝、手が止まったのは、見張りの上にある工程が決まっていないからです。動いた行をどれだけ速く読むか。読んだあとに、どれだけ速く触れるか。


見張りを立てたら、読む仕事が生まれた


そもそも、見張りの立て方でも一度失敗しています。1年ほど前、ニュースの監視をAIに頼んだ最初の週は、キーワードを10個並べて、朝の巡回を全部読ませました。通知は1日80件。私の朝は80件の検品で埋まりました。監視は立った。立てた場所は「読むこと自体」でした。読む仕事が毎日生まれて、営業の朝を食う。15年前の「目についたら読む」と同じ状態に、速いだけの形で戻っていました。


見張りを立てても、読む速さを決めていないと、監視はそのまま工数になります。


1社、3分で読み切る


決めたのは、その日の昼です。動いた会社は、1社3分で読み切る。3分の終わりまでに「この会社はなぜ動いたか」を1文で言えないなら、その動きはまだ動きではない。次の朝の巡回に返します。1文が書けた行だけ、手に取る側に繰り上げます。巡回と抽出の場所はAIの朝。読む速さは、私の3分。場所と速さを分けてから、80件の巡回は10分で終わるようになりました。


3分は、賢く読むための数字ではありません。賢く読む時間を残すために置く線です。1行だけ延々と読み続ける日は、読む仕事が営業日を食い始めた合図だと思って、天井に帰っています。


見つけたら、48時間以内に1文


繰り上げた行は、動きが出てから最初の48時間の中で、1文だけ触れます。窓です。書くのは「記事を読みました」ではありません。動きの中身への1行の質問です。ニュースを話題にした手紙は、1週間もたつと遅い手紙に見えます。48時間の中にいれば、公開と同じ速さで動いた側として読まれます。


火曜の昼、61番目の行の会社へ1文を送りました。設備の更新の記述の行を引用して、「この更新なら、現行の設備のどこが先に効きますか」と聞いた1文です。窓の起点は、発見の日から数えることにしました。動きが出た正確な日時をこちらが知る由はないからです。拾ったその日の朝を0時として数える。決めるまでもない規約ですが、書いておかないと窓の開閉が人によって動きます。


返事は、後輩の復帰の朝に来ていた


返事が来たのは、2日後の木曜の朝でした。後輩の復帰の日です。中身は1行の質問で、更新の範囲と、いま動いている設備の年式を確認する1行でした。不在の2日間、朝の10分も金曜の整備も止まらず、動きの行が1つ、拾われて触れられた。書類が回り続けた証拠は、私の説明より、不在の間に閉じなかったこの1行のほうが明確です。


任せる線


巡回と抽出、1文の下書きはAIに渡ります。渡さないのは、1社3分の天井を決めること、読み切れた行と返す行を線引きすること、48時間の窓の中でどの行に触れるか、今日送るか明日に送るかの判断です。なお、動きの読み替えの辞書を作る話は、以前、購買シグナルの話として書きました。今回はその辞書の前後の話です。見張りをどこに立てるか。どれだけ速く読むか。どれだけ速く触れるか。この3つは、辞書の外の速さの設計です。


今週、ひとつだけ試すなら


「動いた会社は、1社3分」と線を引いて、1週間だけ運用してみてください。3分で「なぜ動いたか」の1文が書けないなら、その行は見送りで、翌朝の巡回に返す。書けた行は、発見から48時間以内に、動きへの1行の質問で1文だけ触れます。見張りの成果は、読んだ件数では測れません。3分の線を引いた週に、1文を出せた行が何行あるかで測ります。


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