速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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500行を一度に採点させたら、後半が横並びになった話

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こんにちは。速水拓真です。


先週の木曜の朝、採点の基準の一行を直したら、十数社ぶんの点数が全部直る話を書きました。基準が直れたからには、リストの残りの行に点を付けないわけにはいきません。手元のリストには、行で五百あります。金曜の夜、翌週の仕込みの整備のあとで、思い切ってしまいました。もう区切りとか面倒だ、一度にぜんぶ貼って頼んでしまおう。15分で終わるはずでした。列の設計の話も、条件を引き出す話も、点数の中身を検算する話も書いてきました。今日は、点を付ける作業そのものを、どう回すかの話です。


途中で切れた表と、横並びの点数


返ってきた出力は、400行を過ぎたあたりで途切れていました。点数の付かない行が、表の末尾にずらりと残る。残りをもう一度頼み直すと、今度は別のことが起きました。後半の行の点数が、横並びになったのです。60点が10社続く。私の点の決まりでは、備考に書き込みのない行は0点と数えます。なのに、書き込みのある会社まで、同じ点の中に飲み込まれていました。基準を直しても直らない、別の種類の狂い方でした。


20年前、この作業は人間の仕事でした。1社の情報を読んで点を付けるのに3分かかる。500社で25時間。ほかの仕事が全部止まる計算です。だからリストは採点されないまま置かれ、半年後にはもう古いと捨てられていました。採点は、人間がやるから終わらない作業なのです。そして機械に任せた今は、終わる仕事だと思い込んでいました。機械は疲れないのだから、途中で手を抜くはずがない。実際には、長い表の終わりのほうで、機械は人間と同じように集中を失いました。私が20年やってきた仕事の癖を、機械はそっくり引き受けてくれたのです。


百社ずつに区切ったら、15分で終わった


土曜の朝、貼り方を変えました。百社ずつに区切る。1回のやり取りは3分で終わります。表を貼るのに30秒、考えてもらうのに1分か2分、結果を眺めるのに30秒。5回で15分です。基準を読ませるのは最初の1回だけ。あとは同じ窓の中で、「101番から200番を送ります」の一言と表を貼るだけです。


機械からは、私の手元の表は見えません。見えるのは、窓に貼った文字だけです。だから採点に使いそうな列は、全部貼る。使わない列は無視する、と頼み文には書いてあります。途中で雑になってきたら、行を飛ばす、形が崩れる、そのときは新しい窓を開いて、頼み文から貼り直す。迷ったら貼り直すのが、いちばん安い保険です。


最初の一回だけ、3行を手で数え直す


1回目の出力を点数列の最初の空欄に貼ったら、上位の1社、中位の1社、最下位の1社、計3行だけを自分の手で採点し直しました。3行とも、私の電卓と一致した。品質の8割は、この最初の一回で決まります。点が明らかにおかしければ、機械が狂ったのではなく、基準の書き方が悪い。直して、1回目からやり直す。残りの4回は、流し作業で構いません。


行数の合図も決めてあります。出力を貼ったすぐ下の行の点数列が空欄のままなら、百行きちんと入った合図です。出力の最後には、省いた行の番号を申告させる。行が足りなければ、全行を出し直すよう一文で頼むだけで済みました。最初の一回だけ丁寧に、残りは流す。ここを飛ばして5回流した表は、どこが壊れているか分からない表になります。


線は、点数の並びの隙間で引く


5回が終わり、五百行の点数が埋まったら、並べ替えです。並べ替えは、必ず表全体を選んでから行います。合計の列だけを選んで並べ替えると、点数だけが行き違いになって、社名と点数が別々の会社になってしまう。これを1回やると、採点から全部やり直しです。15年前に1回だけやって、それ以来、並べ替えの前には表全体を選ぶ指が動くようになりました。


線は、まず機械的に上位1割を候補にして、そこから点数の並びの隙間を探します。私の表では、72点以上が41社連なり、42位で急に58点へ落ちていました。隙間がそこにあったので、41社で切りました。切れ目がなければ上位1割のまま。線の上に乗りすぎたら、点数を上げて引き直す。残す目安は30社から80社です。200社も残すと、次の調べが1社10分として33時間かかり、計画ごと崩れます。


待機の行は、四半期に一度、元の表へ戻す


線の下になった行は、消しません。行ごと切り取って、待機の置き場へ移します。落とした行を3つに分けて保存する話は前に書きました。あの回は行き先の話でした。今日の新しい約束は、周期のほうです。兆候は再燃する。1年前の発表のみの行が、着工のニュースで化ける。だから四半期に一度、待機の行を元の表へ戻して、備考の列を更新して、もう一度点を通す。30分の作業です。点が付くたびに、置き場の中にも順番ができていきます。待機の置き場所は、捨て場ではなく、四半期に一度巡る場所でした。


最後の10分は、私の20年の席


点数が付いても、まだ任せっきりにできない分が残ります。機械は、表の中の事実しか知りません。私の20年の記憶は、どの列にも書いていないのです。社長と面識がある。支払いが遅いと聞いたことがある。競合と専属を組んでいる。残った41社を、今朝10分かけて眺めて、印は2種類だけ付けました。外す社に×。知っている社に↑。線の少し下まで読み返して、以前に担当者と話をしたことのある会社を1社、救済しました。


低く出る社は、悪い会社ではありません。今の表の情報では判断できない会社です。備考が1年前のままの社は、実際にはもう着工しているかもしれない。それを直すのは、線の上に残った社にだけやる仕事です。1社10分。朝に5社ずつ通せば、41社は9つの朝で回りきれる。行で五百あった表は、41社になりました。この41社が、これから半年で向き合う相手の全員です。


任せる線


点を付けるのも、並べ替えるのも、根拠の申告も、省いた行の数え上げも、機械です。百社ずつの区切りを守って貼ること、百行が入った合図を眺める目、線をどの隙間で引くか、×と↑をどこに付けるか、四半期の日程を決めることは、人間です。500社に25時間かかる仕事が、土曜の朝の15分と、月曜の朝の10分で回るようになりました。浮いた時間は、点を付ける作業にではなく、点の置き方を考える方へ回っています。


今週、ひとつだけ試すなら


まだ一度も点を付けていないリストがあるなら、最初の百社だけを貼ってみてください。上位1社、中位1社、最下位1社の3行を、自分の手で数え直す。点が合わなければ基準の書き方が悪いので、直して1回目からやり直す。合えば、残りは流し作業です。採点は、人間がやるから終わらない作業でした。機械が横並びになるのは、人間と同じところで疲れるからです。区切りを百社にする。この一行の決まりで、終わらなかった仕事が、朝の15分に変わります。


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