速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
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リスト探しを毎朝6時にAIへ渡したら、選ぶしかやらなくなった話

初出: note

こんにちは。速水拓真です。


前回は、当たる条件を口で答えて後輩のリストが別物になっていた話を書きました。勘を4列の定義書に起こして、リスト収集のプロンプトに貼って、1度回すとこまでです。今回はその先です。その「1度回す」という動作そのものをやめました。押す係を時計に渡して、朝に届いた表を選ぶだけの係になった話です。


このデモ、毎朝も回るんですか


昨日の午後、前回お見せした物差しのデモのあとで、後輩がこう聞きました。「この1回というのは、デモの1回だけですか。毎朝も回るんですか」。


答えは「回る」でした。9月の末から、うちのリスト収集のプロンプトは毎朝6時に勝手に走っています。後輩は少し驚いて、次にこう聞きました。「先輩はそのプロンプトを、いつ手で押しているんですか」。


いつも、という答えは存在しません。押しているのは私ではなく、時計です。ここからは、その時計への渡し方を、9月末に私がやった順番で書きます。


金曜の夜60分は、15年前から続いていた


渡すまえに、自分の押し方を記録し直しました。記録は単純でした。15年間、リスト探しの予定表を埋めたことは、ほとんどない。朝のすき間にやろう、と思って、すき間は商談と移動に潰れる。実際に回すのは金曜の夜で、まとめて60分。忙しい月は、実行ゼロの週もありました。


疲れた金曜の夜に拾った行は、月曜に自分で裏を取るところからやり直しです。行だけ残って、根拠の記憶は燃えている。拾う時間より確認の時間がかかることが、何度もありました。しかもこの波には別の副作用があります。商談が詰まった週にリスト作りはまっさきに後回しになるので、リストの行数は商談の忙しさに合わせて減ります。空リストが来るのは、仕事が少ない月でなく、いちばん忙しい月の次の月でした。


リスト作りは上流工程です。自分の行動を減らしてまで後回しにすべき仕事は、ここには1つもありません。なのに15年、後回しの座を譲らなかった。この癖ごと手放すことにしました。


渡したのは「押すこと」で、残したのは「選ぶこと」


9月30日の夜、登録につかった時間は15分でした。やったのは3つの手放しです。


  • タイミングを手放す — 「気が向いたとき」を「毎朝6時」に直す。実行するかどうかを当日判断する仕事が、これで消えます。忙しい週も暇な週も、リストは同じ速度で増えます

  • 入力を手放す — 毎回貼っていた発掘条件を、固定ページに置きっぱなしにする。前回作った4列の定義書はこの中身です。私が触るのは、条件を変えるときだけ

  • 出力先を手放す — 結果は決まった場所に届く。朝に開くのはそこだけ。探す、貼る、整えるの手順書が、丸ごと不要になりました


足して引き受けた仕事は1つ、選別です。手順は末尾に1文足すだけ。「この指示を毎日朝6時に実行してください」と送り、登録の確認に承認し、通知をオンにする。


通知の理由は2つあります。1つは結果が届いたことを知らせる役目。もう1つは、届かない朝=パイプラインが止まっているという合図です。通知が来ない朝だけ、手で走らせます。人間が見張る時間は要りません。


朝の10分は、生成ではなく選別


今朝の風景をそのまま書きます。8時56分に席に着く。昨夜帰る時点で28行だった台帳が、31行。増えた3行には、どれも「なぜ今この会社なのか」の理由1行と、裏付けのURLが付いています。


  • 9時00分 — 通知を開いて表をコピー(2分)

  • 9時02分 — 台帳の末尾に貼って、3行に判定を書く(6分)。Aは今週アプローチ。Bは1か月後に再チェック、再チェック日を1行書く。Cは不要、理由を1行書く。台帳に既にある会社は新しい行を作らず、元の行に今日の日付を足す

  • 9時08分 — Aの1社を調査カードのプロンプトに貼って深掘りに入る


10分のうち、生成にかかった時間はゼロです。私の仕事の中心が、探す側から選ぶ側に、丸ごと入れ替わりました。15年前の金曜の夜は探すことに60分かけて、月曜に確認をやり直していた。いまの月曜の朝は、探すことに0分かけて、選ぶことに10分使う。


除外欄が、AIの記憶の代わり


1つ、忘れてならない仕組みがあります。AIは前の朝の記憶を持っていません。だから最初の2週間は、同じ類の会社が何度も届きます。記憶の代わりを務めるのが、プロンプトの除外欄です。


毎週金曜の15分、その週にC判定した理由を読み返して、2つか3つを除外欄に足す。うちの除外欄には、すでにこういう行が並んでいます。「人材紹介業は商談にならない」「子会社は窓口が必ず本社」。整備のあと、除外欄を反映したプロンプトを送り直してタスクを作り直す。この1分で、翌週の月曜からその類が消えます。


初月に起きることも、登録の前に決めておきました。0件の日は0件のまま受け取る。追加で「もっと探して」と頼むと、裏付けの薄い会社が埋め合わせで混ざるのが、先週の0件の朝でも確認できました。大きい会社ばかり出る週は、規模の欄に上限を足したら3日で並びが変わりました。裏付けのURLは自分の目で開く。A判定を付けた会社だけ開けば、1日3分で済みます。要約の1行をうのみにしないのは、任せ表のときと同じ規律です。


時間は同じ、量は2.5倍、波はゼロ


数字を並べます。設定が15分で、朝の選別が10分、金曜の整備が15分。1週間の関与は65分、1か月では4時間20分。手動のときの月2〜4時間と、ほぼ同じです。時間で儲けていません。変わったのは量と波です。列挙は月40行が月100行になり、金曜の整備を経てアプローチに向き合えるのは2〜3割の月20〜30行。量にして2倍半です。1人の営業が本当に必要とする新規候補は、多くて月10〜20行ですから、上流があふれる側に持っていけました。


一番の効能は効率ではありません。商談が途中で落ちた週に、焦らずに済むことです。金曜の夜に拾う運用だと、落ちた週の翌週は空リストに直面します。毎朝6時の運用だと、翌週の月曜にも表が届いています。在庫のある営業の電話の声は、やや変わります。先週、それを自分の耳で確認しました。


任せる線


集めた行を探すこと、決まった時刻に押すこと、理由1行と裏付けURLまで整えることは、時計とAIに渡りました。実行するかどうかの判断、届いた表にAからCの判定を付けること、除外欄に足す1行の内容は、人間のまま残っています。15年押し続けた仕事を時計へ渡すのに要した時間は15分でした。渡したあとも、選ぶ権利だけは、ずっと私の手元にあります。


今週、ひとつだけ試すなら


いつものリスト収集のプロンプトを開いて、末尾に1文足して、送ってください。「この指示を毎日朝6時に実行してください」。確認の承認と通知のオンで、あと5分です。翌朝、通知が届いたら何もしない。届いた表に判定を付けるだけです。通知が来ない朝だけ手で走らせる。押す係を1文で手放すと、朝の最初の仕事が、探すことから選ぶことに変わります。なかなか空かない行数の壁は、実は毎日の押し込みでしか破れません。


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