速水拓真 営業×AI 実践シリーズ
Zenn

道具を足す前に1万円の枠で並べる — データの持ち場所と確認の線を先に引く導入の型

初出: Zenn

商談後24時間のフォローメールは、5箱メモの5番の箱「引き金」から3行の入力で出ていく形に変わりました(商談後24時間のフォローメールは「引き金」から書く)。調査カード・5箱メモ・フォローメールと、この連載で道具が少しずつ並んできました。道具が増えすぎる前に、次に足すときの判断線を引いておきます。

この記事では、月1万円の枠で道具を選ぶ線を作ります。繋ぎたい工程の実測時間→道具費→データの持ち場所、の3段で判定する型です。データの持ち場所の線は、導入が止まる壁1「そのまま顧客に見せられる状態か」とも繋がっています(確認3点を手癖から30秒工程へ)。

道具選びは「3段の判定順」で決める

道具をいきなり探すと、機能の多さで選んで、枠が先に埋まります。判定は次の順です。

  1. 繋ぎたい工程の実測時間 — 週何分、その工程で手が止まっているか。3指標の実測(効果測定3指標)がそのまま使える
  2. 道具費の上限 — その工程の削減見込み月分(実測×時給換算)が、道具費を上限にする
  3. データの持ち場所 — 顧客の固有名詞と連絡先が、どこに置かれるか。ここで壁1の確認線が入る

この順なら、「月1万円の枠の中で、まだ使われていない残り」にだけ次の道具を探す場所が決まります。

データの持ち場所は、確認の線と一緒に引く

持ち場所の型は3つに収まります。

  • 個人のメモ(5箱メモなど)— 参照は1人。漏えいの線は端末のロックとバックアップで足りる
  • フォームと集計(調査カードの入出力など)— 参照は部署。削除可能なフォーム形ではなく、履歴が残る集計形を探す
  • 外部連携のログ(スクリプトの中継)— 参照は連携先。削除できる形のものと、一度置くと残り続ける形のものを分ける

線引きの確認は、外部サービスへ顧客データを置く前の3問です。

  • 公開範囲の問: 「この帳票と同じ扱いで共有されるなら、見えてよいデータだけが入っているか」
  • 削除の問: 「商談が終わった事実は、この場所で期限を切って消せるか」
  • 代走の問: 「自分が休んだ週にも、この場所を別の人は開けるか」(運用表で型を部署に固定する)

判定プロンプト — 3段を1回で並べる

あなたは道具選びの判定役です。次の3行を受け取り、判定を戻します。

1: 工程の名と週の実測(例: フォローメール整形・21分/週)
2: 候補の道具と月額(例: チャットAI有料枠・1,500円/月)
3: データの持ち場所(例: 個人のメモ)

ルール:
- 削減見込みは、工程の実測に時給換算を掛けて上限を1行で示す(道具費が上限内か)
- 削減が道具費を下回るときは「保留」を置く(月1万円の枠で再判定の指示を1行で付ける)
- データの持ち場所→3問(公開範囲/削除/代走)の判定を1行ずつ並べる
- 「機能の多さ」「評判」は入力にないので一切使わない
- 行数は7行以内。数字は入力に書かれた値のみで計算する

サンプル — 実測21分の工程を判定する

入力:

1: フォローメール整形・21分/週(1通3分×7回)
2: チャットAIの有料枠・1,500円/月
3: データの持ち場所: 個人のメモ(5箱メモ)

出力:

- 削減見込み: 21分/週→週5分(入力3行のみ)と置けば時給換算で約3,000円/月。上限内
- 判定: 採用(月1万円の枠を1,500円で消費)
- 公開範囲: 個人のメモは共有されないので、枠内なら問題なし
- 削除: 商談1件が過ぎた箱(5番の箱)を消す動作で達成。OK
- 代走: メモは端末内だと代走できず。共有メモならOK
- 結論: 採用+「メモの持ち場所は共有メモへ統一」

検算 — 1万円の枠の中身

この連載で使っている3道具は、既存環境で0〜数千円/月です。

  • 調査カード(検索+整形): 月0〜数千円
  • 5箱メモ(フォーム+メモアプリ): 月0円(フリー枠)
  • フォローメール整形(チャットAI): 月0〜1,500円
  • 合計: 月1万円の枠の中に約1,000〜2,000円の余りが残る

残り枠が次の道具の上限です。枠を超える前に「繋ぐべき工程がまだあるか」を3指標の実測で戻すのが、この連載の道具側の締めの形です。

まとめ

  • 道具は「実測→道具費→持ち場所」の3段で判定する。機能の多さで選ばない
  • 持ち場所は3型(個人/部署/外部連携)で分け、削除と代走の可否を一緒に引く
  • 壁1「顧客に見せられない」の確認は、外部に置く前の3問で済む(公開範囲/削除/代走)
  • 月1万円の枠に、3道具が約1,000〜2,000円で収まる。枠を越す前によび戻す

次回

この枠設計が決まり、連載は締めに入ります。3冊の書籍をどう組み合わせて「任せろ→探させろ→鍛えさせろ」の線で回すかを、導入1か月の時系列で振り返る回です。この連載の続きは、はてなブログでも毎日書いています。

この記事の元になった書籍では、月1万円の道具の枠を「続けることを前提にした導入判断」として扱っています。

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