企業調査を3分で終わらせる「線の引き方」
こんにちは。速水拓真です。
前回、AIの調査で商談先と別会社の情報を混ぜて失敗した話を書きました。失敗から、AIへの指示に3つの決まりを足した、と書くところで終わっています。今日は、その決まりを組み込んだ道具の中身の話です。
商談前の企業調査というと、正直な人ほど「全部確認したい」と考えます。決算、リリース、採用、役員、評判。積もり積もって1社に30分。でも、この「全部」は最初から不可能です。確認したい項目は無限に増えるのに、商談の時間は増えない。だから道具の設計は、線を引くところから始めました。
何のための調査か
最初に、目的をはっきりさせます。事前調査は、相手企業について詳しくなるためにやりません。初回メールの冒頭、最初の2行を書くためにやります。
読む側は、メールの冒頭2行で「調べてきた人か」を判断します。だったら、その2行を書く材料だけ集めればいい。目的をここに置くと、調べるものは5つに絞れます。
事業内容
主要な製品・サービス
規模の目安
直近の動き
初回メールの冒頭に使えそうな事実
開くページは、公式サイトの「会社概要」と「ニュース・リリース」の2つだけ。決算資料も採用ページも開きません。この2ページ制限が、時間を守る仕組みです。
確認するのは、1カ所だけ
前回書いた決まりの2つ目——「商談で口にする一文だけ、自分で裏を取る」——を、この道具ではこう落とし込みました。
カードの「直近の動き」の1カ所だけ、リリース一覧の見出しと見比べる。10秒です。 ここは、商談やメールでそのまま口にする部分だから。数字は出所付きならそのまま使い、出所がなければ「不明」に書き直します。それ以外は、出典が付いていれば十分です。
全部確認していたら、3分では終わりません。線を引くというのは、「捨てても案件が壊れないもの」を決めることです。
調べないもの、を決める
線の反対側——調べないものも、明示しておきます。
役員の経歴
競合マップ
財務の詳細
ネット上の評判
これらは、アポが取れてから調べれば十分です。初回メールの精度を1円も上げません。1社に15分かけている人のほとんどは、この「調べなくていいもの」を調べて時間を溶かしています。
もう一つ。「不明」は「不明」のまま通します。決算公告を出さない中小企業なら、規模の項目はほぼ「不明」になります。それで問題ない。埋めるために時間を足す価値があるのは、優先度の高い会社だけです。
AIには「調べさせる」な、「整理させる」
仕上げに、前回の失敗の根っこと重なる話を。
この道具では、AIに検索をさせません。材料は人間が2ページに限定して集め、AIには「整理」だけをさせます。前回の失敗は、まさに「この会社について調べて」の一言で調べることを任せたことに起因していました。
だから指示の冒頭には、こう書いてあります。入力された文章だけを使って。外部の情報は使わないで。
材料を自分で集めることには、時間の安定以外のメリットもあります。コピペした文章は「自分が見た文章」なので、後から必ず原文と突き合わせられる。読み込み結果が日によってブレる道具に、調査の根拠を預ける必要はない、という話です。
道具の全体像をまとめると、こうなります。1分目に2ページをコピーし、2分目にAIへ5項目への整形を頼み、3分目に「直近の動き」だけ見比べて、シートに貼る。1社3分。50社なら2時間半で揃います。指示文の全文と記入例は、書籍のほうに載せてあります。
次回は、いままで書いてきた記録の元になっている本の話をします。このnoteを始めた理由の半分が、そちらにあります。
それでは、また。